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【資格】国際バレーボール連盟(FIVB)公認コーチ Level2/日本スポーツ協会 コーチ4/バルシューレジャパンC級指導者/中高教諭1種免許(英語)

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育成年代の理想的なコーチングを考察する

理想的なコーチングって何だろう?

こんな、答えの出ないような問いについて考えてみたいと思う。

本記事では特に、育成カテゴリにおける理想的なコーチングとは何かを考えていきたい。

そこで、この難題について考察を深めていくためにツイッターという素晴らしいツールを活用して、アンケートを実施してみたのである。次のようなものである。

理想的なコーチングとは一体何なんだろう

中学生年代を対象としたコーチングという前提条件のもと、二者択一のアンケート調査を実施してみた。

回答者数も極めて少なく、回答者の偏りもある。そして、二者択一という制限があるために、回答者の理想的なコーチングがいずれの内容にも完全にはそぐわないものである可能性も非常に高いということを前提に結果を眺めてみたい。

結果は、
「上位大会(全国等)に出場する」が20.6%
「卒業後、何の形であれば生涯バレーに関わる」が79.4%

回答者の多くが、試合での勝ち負け以上に、長く競技を続けてほしいという想いを持っていることが分かる。

限定的コーチングと包括的コーチング

それでは、それぞれのコーチングスタイルについて考えてみよう。まずは、「上位大会(全国等)に出場する」ことを目的としたコーチングから。

毎年、全国大会に出場するようなチームをつくりあげるには、ただ練習時間を長くするだけでは実現し得ない。短時間で効率的に練習できるドリルを確立したり、約1年〜2年以内という短期間である程度習得できる、得点に繋がりやすい技術から優先的に身につけたりすることが必要になる。

また、プレーヤーの思考錯誤や試行錯誤するプロセスはできる限り省略して、チームとして採用する1つのプレーの型や戦術的パターンなどを一貫して教え込むことになる。
さらに、ポジションやプレーについては専業・分業化をできる早い段階で行い、各ポジション毎に、プレー頻度が高くなるプレーを集中的に反復練習することになる。
そして、試合に出る可能性が低いとされるプレーヤーには、試合に出る可能性の高いプレーヤーの練習効率を向上させるために球拾いや球出しに専念してもらることになるだろう。

このように、全国大会に出場するようなチームをつくりあげるためには、あらゆる面において優先順位づけ(取捨選択)を行い、あらゆる面においての無駄(遊び)を排除することが求められると言えるのではないだろうか。

こうしたコーチング・スタイルを限定的コーチングと呼んでみてはどうだろう。

では、次に「卒業後、何の形であれ生涯バレーに関わる」ことを目的としたコーチングについて考えてみよう。

まず、ここでの大前提としてバレーボールを大好きになってもらうことが重要だということを強調しなければならない。なぜなら、生涯バレーに関わってもらいたいのだからプレーヤーが「やめられない。とまらない。(かっぱえびせん)」状態になることが最重要である。

中学生カテゴリであれば、当然初心者のプレーヤーもいることが想定される。一般的に技術が未熟な初心者がバレーボールを楽しむまでにはある程度の時間がかかると言われている。しかし、彼ら・彼女らにバレーボールを大好きになってもらうためには、アンダーハンド・パスやスパイクの技術を習得できていなかったとしても、バレーボールのエッセンスだけを残した簡易なバレーボール・ゲームを「最初の最初から」経験する機会を提供する必要がある。ゲームからバレーボールを学ぶ経験の提供である。

また、身体的な発達段階やバレーボールの経験値、技術レベルの違いに関わらず、すべてのプレーヤーが等しくバレーボールのすべてのプレーを体験できるような練習計画とその実践も必要不可欠な要素となる。言葉で言うのは簡単だが、これを実践しようとなるとかなりの工夫と根気が必要になってくるに違いない。

しかし、すべてのプレーをまるごと体験することでバレーボールの面白さや自分自身の強みや弱み、多くのことを学ぶことができるようになる。そして、バレーボールへの愛情は確実に育まれていくだろう。

そして、プレーヤーが思考錯誤と試行錯誤する時間を奪ってはならない。コーチは最低限のティーチングに努める必要がある。プレーヤーが自らの脳みそをフルに使って思考錯誤し、自らの身体をフルに使って試行錯誤する姿を鋭い観察眼とあたたかい眼差しで見守るのだ。そして、ときには「本当に必要とされるタイミングで」プレーヤーにフィードバックや問いかけを行うのである。

このように、卒業後、何の形であれ生涯バレーに関わってもらうためには、数ヶ月先、1、2年先に迫ってくる試合に勝つためには求められるであろう効率性を一切排除し、すべてのプレーヤーがバレーボールをまるごとプレーし、各々の思考錯誤と試行錯誤の重ねる時間を確保することやティーチングではなく質問や問いかけにフォーカスする姿勢が求められるだろう。

こうしたコーチング・スタイルを包括的コーチングと呼んでみてはどうだろう。

育成年代の理想的なコーチング

本記事では、育成年代の理想的なコーチングについて考えていくために2つの究極の選択とも言えるべきコーチング・スタイルをとりあげてみた。

ここで押さえておくべきポイントは、「何を」「どこに」ゴール設定するのかによって理想的なコーチングが何かという問いに対する答えは全くもって変わるということである。つまり、ゴール設定がどんなコーチング・スタイルをとるのかということに、決定的影響を与えるということである。

プレーヤーにとって何が大切なのかを考えることに、コーチは時間と労力を注ぐことから始めたい。そして、そこから理想的なコーチングはスタートするのだと思う。

人生100年時代だと言われるようになった今、現在の中学生の寿命はそれよりもさらに長くなっている可能性が十分にあるだろう。そんな彼らの長い人生にコーチが少しでも彩りを加えられることがあるとするならば、それは一体なんだろうか?

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