コーチは未来志向でありながらも最も「今」を大切する姿勢を決して忘れてはいけない

子どもは大人のミニチュアではない。

子どもたちの育成に関わるスポーツコーチ、そして大人たちはこの言葉を決して忘れてはいけません。

子どもと大人の身体は見た目の大きさだけではなく全くの別物です。大人に対するコーチングと同じことをすれば、その成果が思ったようにあがらないどころか、大怪我をさせてしまうおそれさえあります(身体的側面)。

また、大人と子どもは身体的側面における違いだけではなく、心理面の発達という視点から見ても、そこには大きな違いがあります(心理的側面)。

私たち大人が子供たちに対し適切なコーチングを行なっていく上で、子どもの「身体的側面」「心理的側面」における発育段階をしっかりと理解していくことは極めて重要であると言えます。

このことから、まずは子どもの各年代における「身体的側面」「心理的側面」の発達段階の特徴についてそれぞれまとめた上で、コーチンングにおける大切な考え方についてまとめていきたいと思います。

子どもの「身体的側面」における発達段階の特徴とは

まずは、子どもの「身体的側面」における発育段階を順に追ってまとめていきます。

小学校に入学するような年齢になると身体の自分の思ったようにコントロールすることがだんだんとできるようになり、子どもらしさが増してきます。時間の経過とともに少しずつ体の抵抗力や運動能力も向上し、やがて成長期へと突入します。

身体はだんだんと丈夫になっていき、特に瞬発力やバランスが急速に伸び、身体も柔軟性に富んだしなやかな弾力性のあるものへとなっていきます。動作はそれまでよりも技巧的になり、巧緻性も向上していきます。

そして、小学校中学年にもなるとさらに運動能力は発達し、敏捷性、巧緻性に磨きがかかっていきます。身長も伸び、体重も急激に増え、内臓器官の成熟も目覚しいものがあります。

さらに、小学生高学年になると成長の個人差が大きいことが目立ってくるようになります。また、男女それぞれの性的特徴が目立つようにもなってきます。体つきは徐々に大人に近づいてゆき、身長・体重・座高などが急速に増えていきます。

中学生になると、急激な身体の変化が始まり、男らしい・女らしい身体になっていき、体格や体力などの面では、大人にどんどん近づいていくことになります。

子ども一人一人の発達段階を見極め、カスタムメイドのコーチングを

ここまで述べてきたように、たった数年間のうちに子どもの身体や運動能力・体力は劇的な成長を見せます。そのため、コーチには各年代における身体的特徴や身体の強度、体力がどのくらいあるのかといったことを十分に考慮した上でコーチングの計画を立て、実行していくことが求められます。

年齢が同じであっても個人間の差(成長速度・性差など)によってコーチングアプローチは全く別モノとなることがたびたび起こります。画一的・マニュアル的指導ではなく、個に応じたカスタムメイドなコーチングを行なっていく必要があります。チームスポーツにおいては、個人間の発達段階の差があまりに大きい場合、複数人のコーチ(大人)が分担し、目的にあったグルーピングを行い、コーチングしていく必要があるケースも起こりえます。

また、年齢を追うごとに、成長し大人に近づいていくことは間違いありませんが、子どもへのコーチングを行う際は、成長の「途中地点」にあることをしっかりと理解しておく必要があります。

試合で勝つことを意識しすぎるあまりに、過負荷な練習やトレーニングなどをして子どもを故障させるようなことは決してあってはなりません。

子どもの「心理的側面」における発達段階の特徴とは

次に、「心理的側面」における発達段階を順におってまとめていきます。

小学校に入学した頃は「なぜなぜ時代」とも呼ばれ、大人を質問攻めするようなことが多くなります。また、「まねっこ時代」でもあり、大人を真似るといったこともよく見られる行動パターンです。

年を重ねるごとに少しのストレスには耐えることができる強さも身につき、アニメなど、様々なものへの興味・関心も強くなっていき、ある物事に夢中となる時期がやってきます。

次第に他者(友達など)の存在が気にかかるようになり、自分が社会(例:クラス)の中でどんな役割を担っていけばいいのかなども考えるようにもなっていきます(社会性の獲得)。興味・関心の範囲も広がり、友達関係も広がっていきます。学習などへの意欲も高まり、学習への取り組み方も熱心で意欲的になります。

小学校高学年になると、大人が自分を公平に扱ってくれているかを非常に敏感に感知するようになり、さらに中学生になると、親と心理的な距離をとるようになっていきます(いわゆる思春期)。そして、同性の友人との交友関係などをより大切にするようになっていきます。

子どもの「やりたい」気持ちを高めるコーチングを

ここまで述べてきたように、子どもは年を重ねるにつれて、強い好奇心を抱きながら、少しずつ自我を確立し、他者との関係性を広げていこうとしていきます。

こうした子どもたちに対して指導する際、最も大切なことは「自分の力でやってみたい」という意欲や「もっと知りたい」といった好奇心を摘んでしまうことなく、子どもの意欲を「高める」コーチングをすることだと思います。

「指示・命令」と言った上下関係にある言葉で子どもを動かそうとするのではなく、彼ら・彼女らが自ら考えて動くことができるような言葉がけを熟考していく必要があります。そして、その言葉は子ども一人一人によってすべて違っていて、唯一の答えは存在しません。

またコーチは、どうすればいいのか分からず戸惑っている子どもに対してすぐに答えを言ってしまわずに考えるためのヒントをそっと差し出し「待つ」ことができるようにならなければなりません。このことは言葉で言うほど、簡単なことではありません。コーチ自身も日々、精神的にも知的にも成長していく努力が求められます。

そして、特にチームスポーツのコーチについては、コーチングのプロセスの中で、「他者とのコミュニケーションを経験する場」をたくさん提供することも忘れてはいけません。練習相手や練習時のグルーピングなどもコーチがすべて決めてしまうのではなく、彼ら・彼女らで決めさせる機会をつくるなど、コミュニケーション能力を高めるための仕掛けをたくさんつくっていくことも大切にしたい点です。

何のために、子どもたちの「今」をコーチングするのか問う

子どもは大人のミニチュアではない。

この言葉について色々と書いてきた本記事ですが、この言葉が訴えていることは何か?と考えてみると、次のようなことではないかと思います。

一人一人の子どもの「今」をよく観察・理解した上で、一人一人の子どもが主体となるカスタムメイドのコーチングを行う。

そして、コーチがコーチングを行う際に常に頭の中にあるべきこと。

それは、彼ら・彼女らの「未来」だと思います。

「過去・今(現在)・未来」 ここに存在しているのは「今」だけです。

ですから、コーチは子どもたちの「今」を最も大切にする姿勢を持つことが大事です。しかし、その「今」の連続が「未来」を創っていると考えるとするならば、やはり「未来」も大切です。

コーチは未来志向でありながらも、最も「今」を大切にする姿勢を持つべきだと思うのです。

子どもたちの1年後、3年後、5年後、10年後、15年後…。

彼ら・彼女らの「未来」に常に想いを馳せながら、彼ら・彼女らの「今」をよく捉え、丁寧に接することができればいいなと思います。

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